商品を販売すると,通常,その商品は「公然知られた」あるいは「公然実施された」ことになり,新規性を失います。外側から見える部分についての発明であれば,直ちに新規性を失うことになります。( 【Q14】新規性の意味を教えてください を参照)
したがって,既に販売した商品は,新規性を失っていることを理由に,特許がとれないのが原則です。販売により新規性を失った場合は,新規性喪失の例外(特許法30条)にも該当しませんから,救済されません。
ただし,分解すると商品が破壊され,発明の内容が分からないようになる場合や, 販売者と購入者との間で,発明の内容を秘密にすることを約束していた場合は,新規性を失っていませんので,特許をとれる可能性があります。
ただし,既に販売した商品については,「物の発明」としては,特許が取れる可能性は非常に限られますが,化学物質などで商品の生産方法に特徴があれば,「物を生産する方法の発明」として,特許をとれる可能性が残されます。