【Q15】 既に発表した発明は特許がとれますか?
発明を外部に発表すると,「公然知られた」ことになりますから新規性を失い,特許が取れないのが原則です。しかし,特別な手続きをすることにより,新規性を失わなかったものとして取り扱ってもらえる場合があります。これは,特許法30条に規定されており,「新規性の喪失の例外」といいます。
この規定の適用を受けるには,次の要件を満たす必要があります。
- 特許を受ける権利を有するものが発表したこと
特許を受ける権利を有するものとは,発明者や,発明者から特許を受ける権利を譲り受けた者です。この規定の適用を受けられる発表の仕方は,次の3つの場合に限られます。
・刊行物に発表した場合
・電気通信回線(インターネット)を通じて発表した場合
・特許庁長官が指定した学術団体が開催する研究集会において文書を持って発表した場合
- 発表から6カ月以内に特許出願したこと
発表から6カ月を過ぎると,もはや適用はうけられません。
- 所定の書面を提出すること
(ⅰ) 特許出願と同時に,この適用を受けようとする旨を記載した書面を特許庁に提出すること(願書にその旨を記載することによって省略することができます)。
(ⅱ) 特許出願から30日以内に,発表した発明がこの規定の適用を受けられる発明であることを証明する書面を提出すること。
なお,この規定は,発表により発明は新規性を失わなかったものとみなされますが,出願日が発表日まで繰り上がるわけではありません。従って,他人が同じ発明を先に特許出願したり,公開した場合は,特許を受けられないことになりますから注意してください。