2024年5月28日(火)、パーソルキャリア株式会社(所在地:東京都千代田区、代表取締役:瀬野尾 裕)と国立大学法人山口大学(所在地:山口県山口市、学長:谷澤 幸生)は、人口流出課題を抱える中山間地域に暮らす子どもたちの「地域への愛着(シビックプライド)」を育むと共に、将来も地域と継続的に関わっていく多様なキャリアやライフデザイン(はたらき方、暮らし方、生き方など)の選択肢を知り、将来に向けた主体的な行動の習慣化を促す、「地域の特色を反映可能なローカル型キャリア教育プログラム」を研究・開発すること等を目的として、連携協定を締結しました。山口大学はこれまで30を超える組織間協定を結んできましたが、教育学部を主軸にした産学連携目的の組織間協定としては、初めてのものになります。
近年、自己実現志向の急速な高まりに伴い、ライフステージの早い段階から将来の職業的選択肢について考えることを促すキャリア教育の重要性が改めて認識され、さまざまなプログラムが各地で増加しています。一方で、地方で生まれ育った若者が、自身の将来のビジョンと現実的な職業的受け皿とのギャップに葛藤し、「地元でできる仕事をするか、やりたいことのために都会に出ていくか」という二元論の中での選択を余儀なくされているという課題は、結婚、育児等を含めたライフデザインや、地域・故郷で働くことに期待感や希望を持つことを困難にしています。この度の連携協定の中では、多様な仕事そのものの理解やシビックプライドの醸成はもとより、地域と関わり続ける多様なライフデザイン(働き方、暮らし方)があることに気付かせるキャリア教育プログラムの開発・実施により、子どもたちが地元・故郷に対してポジティブな認識を持ち、将来的に多様な方法で地域社会に主体的・積極的に関わり、貢献し続ける可能性を高めることをねらいます。具体的には、Uターン、テレワーク、二拠点生活、副業、起業等の多様な働き方・暮らし方を含めたキャリア教育を通じて、地元で暮らす、あるいは関わり続ける働き方・生き方(関係人口)の選択肢を示します。地域社会の多様性と共生を促進し、地元・故郷に新たな価値やビジネスを創発していくことができれば、魅力的な働く場所や暮らし方のロールモデルを生み出すことが可能となり、こうした社会が創造される過程では、地元・故郷を拠点にやりがい・生きがいを持って生活するライフデザイン(就労、結婚、出産、育児)も可能となります。その意味で、地元・故郷が持続可能であるという判断材料をいかに具体的に提供できるかが、本連携における課題となります。
パーソルキャリアでは、全国の小学校・中学校(対象:小学4年生から中学3年生)にキャリア教育プログラム「“はたらく”を考えるワークショップ」の無償提供を行っています。日々さまざまな人や企業の“はたらく”に向き合い続けるパーソルキャリアのキャリアアドバイザーらが講師を務め、現場で培った経験・知識をもとに、自ら主体的に判断しキャリアを形成していくための「生きる力」を養う授業を行っています。また、事業においては、転職サービス「doda」を通じ、地域で働きたい転職希望者と地域企業をつなぐ転職支援も行っているほか、副業人材やフリーランスなどのプロフェッショナル人材の総合活用支援サービス「HiPro(ハイプロ)」では、自らのスキルを還元することで地域に貢献したいと考えるプロ人材と、課題を解決したい地域企業をつなぎ、関係人口の創出・増加、人材流動化を促進し、地域経済の活性化に貢献する「スキルリターン」に取り組んでいます。
山口大学では、今回の取組の中核となる組織について、学部・研究科の枠を超えた学際的研究組織である「地域のイノベーションシステムを起点とした教育開発研究推進体」として認定し、リーダーを務める原田 拓馬(教育学部・講師)を中心として、地域に根差したキャリア教育のあるべき姿やその効果検証、また地域愛醸成、地域との多様な関わり方に関する研究を進めることで、社会課題の解決を目指しています。
このたび締結した協定書に基づき、両機関は、人口流出課題を抱える中山間地域において暮らす若者が、多様な働き方や暮らし方の選択肢を獲得できるようにするためのキャリア教育プログラムの研究開発を主軸として、多岐にわたる連携協力を推進します。地域特性に応じたキャリア教育プログラム開発のモデルができた暁には、しっかりとその効果測定を行った上でこれを全国の中山間地域や離島部にも横展開し、どこに暮らしていても良質なキャリア教育機会が保障される社会の実現を目指します。
教育・研究活動の活性化はもとより、全国の若者が多様な働き方、暮らし方の選択肢を獲得できる未来に向けて大きな役割を果たしたいと考えています。
<問い合わせ先>
パーソルキャリア株式会社 広報部
メール:koho@persol.co.jp
TEL:03-6757-4266
山口大学「地域のイノベーションシステムを起点とした教育開発研究推進体」代表 原田 拓馬(教育学部・講師)
メール: tharada@yamaguchi-u.ac.jp
TEL:083-933-5442
(報道について)
国立大学法人山口大学総務企画部総務課広報室
メール:sh011@yamaguchi-u.ac.jp
TEL:083-933-5007