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高野准教授が日本衛生動物学会の佐々賞を受賞 2015.10.19

 共同獣医学部病態制御学講座准教授(テニュアトラック)高野愛先生が、日本衛生動物学会の佐々賞を受賞し、3 月27 日に金沢大学で開催された第67 回日本衛生動物学会大会において表彰されました。

 日本衛生動物学会の佐々賞は、若手研究者の研究奨励と業績の顕彰を目的とし、過去2年間に「Medical Entomology and Zoology」に掲載された優秀な原著論文の筆頭著者に与えられます。今回の受賞は、2014 年に発表した「Construction of a DNA database for ticks collected in Japan: application of molecular identification based on the mitochondrial 16S rDNAgene.(日本国内におけるマダニ遺伝子データベースの構築:マダニミトコンドリア16S rDNA を用いた遺伝学的同定法確立の試み)」の業績が認められたものです。
            
 マダニは動物や人間を刺咬する際に、ライム病や日本紅斑熱などの病原体を伝播することが知られています。マダニは種類によって伝播する病気が異なるため、医師による診断や治療の為には、どの場所にどの種類のマダニが生息しているのかを正確に把握することが必要となります。そのため、各地の地方衛生研究所などでは、地域毎にマダニの生息状況を調査しています。採取したマダニの同定法は、体表面の模様や目の有無といった形態学的な手法が主流です。しかし、マダニは雌雄の差や成長過程により1 種類のマダニが持つ形態的特徴のバリエーションが多いことや、虫体の欠損により形態学的な同定は困難となります。そのため、遺伝学的同定法の開発が急務とされています。

 そこで本論文では、遺伝学的同定に利用できる、マダニミトコンドリア16S rRNA(mt-rrs)DNA 配列の遺伝子データベースを構築し、これをもとにした系統学的な解析を行うとともに、その遺伝学的同定法の感度を明らかにしました。構築した遺伝子データベースを利用して、国内に生息するマダニ47 種中、39種について解析を行なったところ、36 種(92.3%) がDNA 配列により区別可能であることが実証されました。今回構築した遺伝子データベースは、全国の多くの研究者のご協力の元、高野先生が学生の頃から収集した成果の集大成です。1種類のマダニが複数の遺伝子型を持つ場合があることから、100 種類以上の遺伝子型をGenBank に登録し、公共利用を可能としています。我々の身の回りに潜む危険に対応した公共性が高い研究成果であり、今後のさらなる展開が期待されています。


左から高田シニアフェロー(福井大学医学部病因病態
医学講座、医動物学)、高野准教授(テニュアトラック)、
藤田客員教授(藤田保健衛生大学 医動物学・微生物学、
馬原アカリ医学研究所 所長)

          

              

          
 



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