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上條先生が、炭素鎖を修飾する新しい手法を開発しAngewandte Chemie – International Edition (IF=11.709)に掲載
2016.11.24
大学院創成科学研究科化学分野の准教授(テニュアトラック)上條真先生が、これまで変換することが難しかった炭素鎖を簡便な方法で修飾する手法を開発し、その成果はAngewandte Chemie – International Edition (IF=11.709)に掲載されました。
医薬品やプラスチック、ナイロンのようなポリマー、最近では、有機
EL
用の電子材料など、我々の生活を豊かにするあらゆるものが天然から採取できる石油やアルコールなどを原料として、『有機合成化学』を駆使してつくられています。このように書くと、有機合成化学は万能と思えるかもしれませんが、分子レベルで見ると、実は限られたパーツしか変換することができません。しかしながら、特定の化合物を得るためには、狙ったパーツを変換する必要があります。その方法が開発されていない化合物では、合成しても不純物が多く、目的の物質を得ることが難しいという問題点がありました。そのようなパーツの一つが、多くの炭素原子が結合した炭素鎖です。
上條先生は、炭素鎖に反応促進剤として芳香族ケトンを添加し、2種類の原料を光照射下で反応させるだけの簡便な操作で、高い精度でアルデヒド等価体をつくる方法を開発しました。等価体より得られるアルデヒドは、多様な反応性を示すことが知られているため、合成化学的に非常に有用な化合物です。つまり本研究では、短い工程で安価な原料をより価値の高い物質に変換する新しい方法の開発に成功しました。
今回開発に成功した分子変換ツールは、過去には存在しなかった全く新しいタイプのものです。したがって、短い工程数で高付加価値物質をつくれるようにしただけでなく、有用物質のつくり方に
パラダイムシフトをもたらすことが期待されています。将来的には、医薬品の効率的な合成や、耐性菌にも有効な新しい薬品の迅速な開発に役立つ可能性があります。上條先生は今後の抱負として、これまで変換できなかったパーツを、思いのまま変換するための新しい有機合成化学ツールの開発に引き続き挑戦したいと語っておられます。
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