【書類名】 特許請求の範囲
【請求項 1 】 外箱(1)にスプリング(4)を介して駆動モータ(5)を取り付け,前記駆動モータ(5)の回転軸(6)に脱水かご(11,21,31,41)を固着し,前記脱水かご(11,21,31,41)にバランスリング(13,23,33,43)を取り付けた遠心脱水機脱水かごの首振り防止装置。
【請求項 2 】 バランスリング(13,23,33,43)を脱水かご(11,21,31,41)の上端に取り付けた請求項1記載の遠心脱水機脱水かごの首振り防止装置。
【請求項 3 】 脱水かご(11)の上端に断面コ字状のバランスリング取付部(12)を備え,このバランスリング取付部(12)に円周上で分割したバランスリング(13)を取り付けた請求項2記載の遠心脱水機脱水かごの首振り防止装置。
【請求項 4 】 脱水かご(21)の上端に外方向に向かって逆U字状に曲げたバランスリング取付部(22)を備え,このバランスリング取付部(22)にバランスリング(23)を取り付けた請求項2記載の遠心脱水機脱水かごの首振り防止装置。
【請求項 5 】 脱水かご(31)の上端に上方に開口したバランスリング取付部(32)を備え,このバランスリング取付部(32)にバランスリング(33)を取り付けた請求項2記載の遠心脱水機脱水かごの首振り防止装置。
【請求項 6 】 脱水かご(31)の上端外周に弾性体よりなる緩衝輪(35)を設けた請求項1,2又は5記載の遠心脱水機脱水かごの首振り防止装置。
【請求項 7 】 環状中空体(46)内に重量物(47)が充填された遠心脱水機脱水かごの首振り防止装置用バランスリング。
【請求項 8 】 重量物(47)が液体であり,かつ環状の中空体(46)内を複数に区分した請求項7記載の遠心脱水機脱水かごの首振り防止装置用バランスリング。
【請求項 9 】 液体が食塩水である請求項8記載の遠心脱水横腹水かごの首振り防止装置用バランスリング。
【請求項 10】 重量物(47)が固体である請求項7記載の遠心脱水機脱水かごの首振り防止装置用バランスリング。
【請求項 11】 弾性体よりなる緩衝輪(45)を外周に設けた請求項8,9又は10記載の遠心脱水機脱水かごの首振り防止装置用バランスリング。
【請求項 12】 環状に形成された中空体(46)の上面に設けた注入口(46a)が上になるように,該中空体(46)を傾斜させた状態で流動状態の重量物(47)をその注入口から注入して注入口付近のみを残して中空体内に充填し(47a),その重量物が固化した後,さらに流動状態の重量物(47)を注入口付近の残余部分に充填し(47b),その後注入口に蓋(46b)をすることを特徴とする請求項10記載のバランスリングの製造方法。
【書類名】 明細書
【発明の名称】 遠心脱水機脱水かごの首振り防止装置並びに該装置に用いるバランスリング及びその製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は,駆動モータにより回転駆動される脱水かごを備えた遠心脱水機における脱水かごの首振り防止装置並びに該装置に用いるバランスリング及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遠心脱水機においては,遠心脱水機の駆動モータをスプリングで支えて脱水かごの駆動が外箱に伝わらないようにしている(例えば,特許文献1,非特許文献1参照。)。
【特許文献1】 特公昭○○-○○○○号広報
【非特許文献1】 ○○著「△△△」ララ出版 2003年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の遠心脱水機にあっては,脱水かごの中にぬれた衣類などを偏在させたまま起動した場合は,たとえ脱水かごが安定な平衡状態に作られていても,脱水かごの重心軸線とその回転軸の軸線とが一致しなくなるため,脱水かごが大きく首を振って円滑に起動できず,あらためてぬれた衣類などの位置を直してから再起動しなければならないという問題点があった。
【0004】
本発明は,脱水かごの中にぬれた衣類などをある程度偏在させたまま遠心脱水機を起動しても,脱水かごが首を振らず,円滑に起動するための遠心脱水機脱水かごの首振り防止装置を得ることを目的としており,さらに該装置に用いられる,脱水かごへの取り付けが容易であり,回転バランスのよいバランスリング及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために,本発明の遠心脱水機においては,遠心脱水機の外箱の下部にスプリングを介して駆動モータを取り付け,該駆動モータの回転軸に脱水かごを固着するとともに,該脱水かごにバランスリングを取り付けたものである。
【0006】
上記バランスリングを取り付ける位置は,脱水かごの適当な箇所とすることが可能であるが,後記する理由により,特に脱水かごの上端に取り付けることが効果的である。
【0007】
また,バランスリングを脱水かごに取り付けるために,脱水かごの上端に断面コ字状のバランスリング取付部を形成し,この取付部に円周上で分割したバランスリングを取り付けたり,脱水かごの上端を外方向に向かって逆U字状に曲げてバランスリング取付部を形成し,この取付部にバランスリングを取り付けるか,脱水かごの上端に上方に開口したバランスリング取付部を形成し,この取付部にバランスリングを取り付けるとよい。
【0008】
また,バランスリングには,金属製の棒材を加工したものや,環状の中空体内に液体,例えば,比重の大きな食塩水や,固体の重量物を充填して形成したものを用いる。なお,重量物が液体の場合には,前記環状の中空体内を複数に区分することが好ましい。
【0009】
さらに,脱水かごの上端が水受けかごの内壁に衝突した場合の衝撃を緩和し,脱水かごを円滑に起動するために,脱水かごの上端外周又はバランスリングの外周に弾性体よりなる衝撃輪を設けることもできる。
【0010】
そして,前記環状の中空体内に固体の重量物を充填して形成したバランスリングの製造方法としては,環状に形成された中空体の上面に設けた注入口が上になるように,該中空体を傾斜させた状態で流動状態の重量物をその注入口から注入して注入口付近のみを残して中空体内に充填し,その重量物が固化した後,さらに流動状態の重量物を注入口付近の残余部分に充填し,その後注入口に蓋をする製造方法がある。
【0011】
上記のように構成された遠心脱水機の脱水かごの中にぬれた衣類などを偏在させたままの状態で遠心脱水機を起動すると,脱水かごの上部に取り付けたバランスリングが鉛直軸のまわりに回転しようとする大きな慣性モーメントをもつため,この慣性モーメントが脱水かごを首振り状態にしようとする衣類などの片寄りによる遠心力のアンバランスに対抗して,脱水かごを鉛直に近い位置で安定した回転を維持するように働く。
【0012】
そして,上記した理由からバランスリングの位置は脱水かごの首振りの中心点(図1A点)から遠ざかる程,すなわち,脱水かごの上端にあればあるほど有効であり,バランスリングそれ自体は,均一な重量を持った回転バランスのよいものが好ましい。
【0013】
また,脱水かごの上端外周又はバランスリングの外周に設けた弾性体よりなる衝撃輪は,脱水かごの上端が水受けかごの内壁に衝突した場合の衝撃を親和し,脱水かごを円滑に起動するように働く。
【発明の効果】
【0014】
本発明は,以上説明したように構成されているので,以下に記載されるような効果を奏する。
【0015】
脱水かごにバランスリングを取り付けることにより,衣類などの片寄りによる遠心脱水機の起動時の脱水かごの首振りを抑制でき,起動を円滑にできる。
【0016】
そして,バランスリングを脱水かごの上端に取り付けることにより,脱水かごの首振りの中心点(図1A点)からバランスリングまでの距離が大となり,より大きな慣性モーメントを得ることができるので,脱水かごの首振りがより有効に防止できる。
【0017】
さらに,バランスリングを脱水かごに取り付けるために,脱水かごの上端に断面コ字状のバランスリング取付部を形成し,この取付部に円周上で分割したバランスリングを取り付ける構成を採用することによって,脱水かごの外径とバランスリングの外径を同径とすることができるので,水受けかご等,装置全体を小型にすることができる。
【0018】
また,脱水かごの上端を外方向に向かって逆U字状に曲げ,そこにバランスリングを取付ける構成を採用することによって,リベットのようなバランスリング取付具が不要となるほか,バランスリングは金属の丸棒を曲げて作ることができるので,バランスリングを簡単に製造することができる。
【0019】
また,脱水かごの上端に上方に開口したバランスリング取付部を形成し,この取付部にバランスリングを取付ける構成を採用することによって,バランスリングをバランスリング取付部にはめ込み,リベットで固着するので,バランスリングの取り付けが容易になるほか,バランスリングは金属の棒を曲げて作ることができるので,バランスリングを簡単に製造することができる。
【0020】
また,バランスリングとして,環状中空体内に液体,特に,比重の大きな食塩水や,固体の重量物を充填して形成したものを用いることによって,脱水かごの回転バランスがよくなり,脱水かごの首振りをより有効に防止できる。さらに,脱水かごへの取り付けも容易であると共にこのようなバランスリングは製造が容易である等の利点を有する。
なお,重量物が液体の場合には,前記環状中空体内を複数に区分することによって,中空体内の液体の流動が防止できる。
【0021】
さらに,脱水かごの上端外周又はバランスリングの外周に弾性体よりなる緩衝輪を設けることによって,脱水かごの上端が水受けかごの内壁に衝突した場合の衝撃を緩和し,脱水かごの起動を円滑にできる。
【0022】
そして,前記環状中空体内に固体の重量物を充填して形成したバランスリングの製造方法として,前記した製造方法を採用することによって,中空体内に重量物を注入する際に気泡を該中空体内に封じ込めるおそれがなく,中空体内に重量物を隙間なく均一に充填することができ,回転バランスのよいバランスリングを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】
遠心脱水機の断面図である。
【図2】
バランスリング取付部の実施例を示す縦断面図である。
【図3】
バランスリング取付部の実施例を示す縦断面図である。
【図4】
バランスリング取付部の実施例を示す縦断面図である。
【図5】
バランスリング取付部の実施例を示す縦断面図である。
【図6】
バランスリングの製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の実施の形態を実施例にもとづき図面を参照して説明する。
図1において,遠心脱水機の外箱1の内部に水受けかご2をねじ3によって固着する。外箱1の下部にスプリング4を介して駆動モータ5を取り付け,該駆動モータ5の回転軸6は水受けかご2の底部7にベロー8を介して設けた軸受け9を貫通して水受けかご内に伸び,そして,その先端は多数の脱水孔10を持つ合成樹脂性の脱水かご11に固着される。脱水かご11の上端には全周にわたって断面コ字状のバランスリング取付部12を形成し,この取付け部12には図2に示すように円周上で分割したバランスリング13をリベット14で取り付ける。
【0025】
図3に示される実施例では脱水かご21の上端を外上方に向かって逆U字状に曲げてバランスリング取付部22を形成し,金属の丸棒を曲げて形成したバランスリング23を脱水かごの下部から逆U字状の項部にはめ込み,脱水かごの先端24を内側にカシメて,バランスリング23を脱水かご21に取り付けている。
【0026】
図4に示される実施例では,脱水かご31の上端に,上方に開口したバランスリング取付部32を設け,この取付部32にバランスリング33をはめ込みリベット34で取り付ける。また,脱水かご31の上端外周には,弾性体よりなる緩衝輪35を接着剤により取り付けている。
【0027】
図5に示される実施例では,脱水かご41の上端に環状の中空体46内に液体,例えば,比重の大きな食塩水や,固体の重量物47を充填して形成したバランスリング43を接着剤により取り付けている。なお,重量物が液体の場合には,図示されてはいないが,前記環状の中空体内を複数に区別する。また,バランスリング43の外周には,弾性体よりなる緩衝輪45を接着剤により取り付ける。
【0028】
図6(a)(b)(c)は,前記環状の中空体内に固体の重量物を充填して形成するバランスリングの製造工程を示すもので,その製造工程は,
(イ)第一工程(図6(a)):合成樹脂材料をブロー成形して作った環状の中空体46の上面に設けた注入口46aが上になるように,該中空体を傾斜させた状態で石こう材料等(特に,石こう原料と鋳造廃砂と水とを重量比で,150:100:150に混合したものが流動性がよく好ましい)の流動状態の重量物47をその注入口から注入して注入口付近のみを残して中空体内に充填47aする工程,
(ロ)第二工程(図6(b)):その重量物が固化した後,中空体46を水平状態にして,さらに流動状態の重量物を注入口付近の残余部分に充填47bする工程,
(ハ)第三工程(図6(c)):その後注入口に蓋46bをする工程からなる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の首振り防止装置は電気洗濯機に利用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 外箱
4 スプリング
5 駆動モータ
6 回転軸
11,21,31,41 脱水かご
12,22,32 バランスリング取付部
13,23,33,43 バランスリング
35,45 緩衝論
46 環状中空体
47 重量物
【書類名】図面
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
(a)
(b)
(c)
【書類名】 要約書
【要約】
【課題】 脱水かごの中に入れた衣類がある程度片寄っていても,バランスリングにより脱水かごが首振りせず,円滑な起動を得る。
【解決手段】 外箱1にスプリング4を介して駆動モータ5を取り付け,この駆動モータ5の回転軸6に脱水かご11を固着する。脱水かご11の上端全周に,バランスリング13を取り付ける。
【選択図】 図1