渋谷助教が研究推進体シンポジウムで発表

平成29年3月2日(木曜日)に吉田キャンパス農学部・共同獣医学部本館会議室で山口大学研究推進体「小動物のガンに対するトランスレーショナル研究治療ユニット」のキックオフシンポジウムが開催されました。参加者は約30名で、この研究推進体のメンバーになっている共同獣医学部渋谷助教が「栄養状態をモニターし細胞増殖を制御するmTORC1」と題して発表いたしました。

研究推進体とは、分野横断的・学際的なプロジェクト研究を進める山口大学独自の研究核のことです。「小動物・・」の研究推進体は、共同獣医学部の教員が中心となって、本年度を初年度として5年間のうちに、イヌなど小動物のガンを対象に、今まで主として製薬企業から供給された薬剤に対して行われてきた臨床試験を、学内の基礎研究から生まれた候補物質も対象に含めて実施できる仕組みを作ることを目指すものです。このような仕組みは全国に無く、これにより小動物のガンに対する医薬品開発を加速することはもちろん、将来は小動物に対する治験成績によって薬剤のヒトに対する効果をあらかじめ予測することの可能性も期待されています。

シンポジウムでは、最初に代表者である水野教授から、小動物のガン治療の現状や、この研究推進体の目的が紹介され、次に基礎研究側からの2件の発表がありました。渋谷先生の発表はこの2件目であり、細胞内で生合成の制御を担っているmTORC1とよばれる蛋白質複合体がガン細胞の増殖と関連付けられていることから、このmTORC1の活性のメカニズムを解明することの重要性と現在までに得られた主な研究成果が報告されました。講演終了後も会場から質問があり、熱心な議論が行われました。シンポジウムはこの後、学外からの演者による2件の特別講演があり、盛況のうちに終了しました。