2016年4月1日着任、金 貞希(キム・ジョンヒ)先生の研究室を紹介します。

金先生は、大学院創成科学研究科農学系学域生物資源環境科学分野の助教(テニュアトラック)として着任されました。本学の「未来を拓く地方協奏プラットフォーム」事業では初めての女性限定公募による採用教員であり、また本学のテニュアトラック教員の中では初めての外国人(韓国出身)でもあります。居室と研究室は吉田キャンパス農学部本館の3階です。

金先生のご専門は果樹園芸学で、カンキツ類を対象に自家不和合性(同じ個体の花粉からは受精が出来ない性質)に関する研究をしておられます。自家不和合性は自家受粉を防ぐ自然の仕組みですが、果樹の場合、自家不和合性により人工授粉が必要となることがあり、この性質が農業上かえって不利になる場合もあります。この自家不和合性を制御する機構は幾つか報告されており、例えば、バラ科やナス科の植物ではS 遺伝子座のRNaseの活性を抑制すれば自家和合となることが知られています。金先生は以前から、バラ科のS RNase の制御に関する研究を進めておられましたが、現在はカンキツに関してS遺伝子座の遺伝子型および自家不和合反応機構の解明を進めておられます。遺伝子レベルの解明により、樹木として成長する前の苗木の段階での自家不和合・自家和合の個体の選抜が可能となり、カンキツ育種の効率化につながることが期待されます。

蛍光顕微鏡の前の金先生 蛍光顕微鏡の前の金先生

画面に出ているのは花粉管で、花粉管の伸長の阻害は自家不和合性をもたらすメカニズムの一つと考えられている。