石井先生は大学院創成科学研究科工学系学域循環環境工学分野に准教授(テニュアトラック)として着任されました。居室と実験室は常盤キャンパス環境共生系専攻棟の2階です。
先生の研究テーマは、直径がナノメートル(1ナノメートルは100万分の1ミリ)からマイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)という微粒子の合成です。
微粒子は、文字通りその大きさが極めて小さく、また表面積が非常に大きいため、高い反応性などの特徴を持っています。石井先生は今まで、この微粒子について、大きさを均一に揃えて合成(単分散化)、微粒子をシートの上に均一の厚さで隙間なく並べる(集積化)、微粒子の内部に特定の機能性分子を入れる(カプセル化)、内部に別の微粒子を入れる(複合化)などの技術を研究してきました。これらの技術は、微粒子の内部やその近傍での化学反応・吸着・分離・精製などを実現するための基盤となるものです。
現在の我々の生活に不可欠な各種の化学品は、大規模な化学工場で生産されています。これらの工場内では、原料から始まって、反応を起こさせる・生成物を吸着させる・吸着した物質を分離する・分離したものを精製する、などの各種の工程を経て最終的に製品になります。これらの各工程では現在のところ大型の設備の下で大量のエネルギーが消費されていますが、これらの工程の一部でも微粒子による小型化や高効率化が可能になれば、省資源・省エネに大いに資することが期待されます。また、微粒子は大きさが非常に小さいので、将来は体の中で超小型の化学工場を構成し、そこで有用な物質を生産することも可能になるかもしれません。このようなイノベーションをもたらすことを目標に、各種微粒子の合成に取り組んでいます。