2018年3月1日着任、吉田真明先生の研究室を紹介します。

吉田先生は大学院創成科学研究科工学系学域応用化学分野に准教授(テニュアトラック)として着任されました。常盤キャンパスにおいては、初めての「未来を拓く地方協奏プラットフォーム」事業により採用された教員です。居室と実験室は常盤キャンパス総合研究棟の6階です。

吉田先生 吉田先生

先生の研究は、電極触媒における固体と液体の界面の様子を分光学的に観測することにより、触媒の作用機構や元素の役割を解明し、最終的には電気化学反応の高効率化につなげようとするものです。例えば、水を電気分解すると、陽極から酸素が発生しますが、陰極(水素を発生)に比べてその効率は低く、対策としては陽極の表面にある種の遷移金属で覆う方法(コーティング)が知られています。しかし、この時に何がどう働いてそのようになるのかという仕組みはよく分かっていません。先生は、X(エックス)線を金属にあてた時の吸収や出てくる蛍光の測定、あるいは赤外分光などの技術を駆使して、その仕組みを明らかにしようとしておられます。(図1)

図1 図1 研究の概念図

この研究のために、先生は元々本学にあったものや、本事業のスタート研究費で購入されたもののほか、前職(慶應義塾大学)で使われていた装置を移管されるなどしておられ、実験室はこれらの装置で一杯です。先生は既に新年度から学部学生の卒業研究を指導されておりますが、それらの学生や研究分野の近い教員が指導する学生・院生が実験室に常に出入りしており、研究室は活気にあふれていました。

水の電気分解の効率化が実現できれば、水素や酸素をわずかなエネルギーで得ることができ、例えば再生可能なエネルギーで燃料電池車を動かすことができるかも知れません。山口県では「水素先進県」の実現に取組むなど水素への関心が高く、将来はこの研究が地域に成果をもたらすことも十分に期待されます。