予防医学推進コホート研究センター



1.概要

  山口県の高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)は、2019年10月時点で34.3%と全国平均の28.4%を高く上回っており(全国第3位)、以前より、全国に比べ約10年早く高齢化が進んでいると言われています。山口県では予防医学の推進が不十分で、生活習慣病健診である特定健診の受診率が残念なことに全国ワースト1位(H27,28)であり、一人あたりの医療費も全国1位(H24)となっています。
 この山口県の状況を改善するため、予防医学推進コホート研究センターが設立されました。このセンターは山口県の予防医療と地方創生を推進することを目的とし、学術レベルの高い医療コホートを構築するとともに、国際比較可能な腸内細菌叢解析を行い、生活習慣病の発症予防法と治療法を確立する事を目指します。
 高齢化の課題に対応するため、令和2年8月19日に株式会社島津製作所、花王株式会社、協同乳業株式会社,山口県、山口市と山口大学の6者によって「高齢者の健康づくり等をテーマとした地域コホート研究連携に関する合意書」が締結されました。
 このセンターでは、高齢者の介護予防、加齢に伴う認知機能・運動機能などの低下を予防する生活習慣や腸内フローラとの関係性などについて、地域住民を対象としたコホート研究で検証します。定期的な運動・栄養指導・認知機能訓練を継続し、認知機能や運動機能の低下につながる数値や機能を比較していきます。 対象とする疾患は認知症、うつ、発達障害、サルコペニア、フレイル、糖尿病等の加齢関連疾患が主体になります。特徴となるのが多階層のマルチオミックス解析であり、全ゲノム、腸内細菌叢、メタボローム、白血球遺伝子発現といった多階層のオミックスデータを解析対象とします。これらのビッグデータはAIシステム医学医療研究教育センターにより解析が進められ、これまでに無い新しいバイオマーカーを同定することを目指します。コホート研究は第一弾として、山口市阿知須地域で開始しています。今後、山口県の各地に広げていく予定です。
   
      


2.活動状況

 阿知須町は山口大学医学部の近隣にあり、高齢化が進んでいます。我々は5年来、阿知須町で認知症カフェなどの健康推進活動を行い、貴重な阿知須コホートを構築しました。さらに予防医学研究を進めるため、メタボライトやエクソソーム等の新規の解析を国際標準で行い、欧米とのデータ比較を行い、腸内細菌叢解析を新しい医療へと応用展開しています。また阿知須コホートにおいて多くの企業による治験の実施や医療データの事業化を進め、高齢化が進む山口県において社会実装化と人材育成を推進します。
本研究は腸内細菌叢解析を中心とした予防医療による地方創生のモデル作りへの貢献が期待できます。
(1)腸内細菌叢解析による認知症や生活習慣病等の新規予防法および治療法開発

(2)腸内細菌叢解析に基づくイノベーション創出

 神経疾患、生活習慣病、アレルギーなど、多岐にわたる疾患について、発症前の個人別リスクレベル判定や予後推定を行う診断アルゴリズムを開発し、事業化を推進します。


         

 

3.メンバー

 田邉 剛(センター長)  医・公衆衛生学・予防医学・教授
 浅井 義之  医・システムバイオインフォマティクス・教授
 長谷川 俊史  医・小児科学・教授
 松永 和人  医・呼吸器・感染症学・教授
 坂井 孝司  医・整形外科学・教授 整形外科学
 木村 透  共同獣医・生体機能学・教授
 浜本 義彦  工・知能情報工学・教授
 石野 洋子  大学院技術経営・教授
 杉井 学  国際総合科学部・教授
 長谷 亮佑  医・公衆衛生学・予防医学・講師


                    メンバーの体制図

4.研究業績

  論文・特許等一覧(PDF)