東アジアVLBIサイエンスセンター
※VLBI:超長基線電波干渉計
ブラックホールの研究拠点
宇宙物理学における最大の研究課題の一つであるブラックホールを、理論と観測の両面から研究する研究拠点です。ブラックホールは時空と物質の進化の結果生じる究極的な天体・時空構造です。宇宙の進化の中でいかにして現在の宇宙の姿が形成されたのか、そこにブラックホールが果たした役割は何か、という宇宙進化論におけるブラックホールの意義はホットなトピックであり、宇宙物理学のみならず時間学にとってもブラックホールは重要な研究課題となります。
理論と観測の連携
既に山口大学では山口32m電波望遠鏡を用いたブラックホールの電波放射の観測的な研究を実施し、またブラックホールおよび類似天体の理論的な研究を行っています。本研究プロジェクトは同一グループ内で観測と理論研究を共同で行うことが最大の特徴です。理論と観測を組み合わせた研究会を山口大学で開催し、新しく活力のある研究を作り出すことで研究拠点を形成します。
山口干渉計 YI
観測面では、山口32m電波望遠鏡に加えて山口第2アンテナを電波望遠鏡化し、世界的にも類を見ない電波干渉計(山口干渉計YI)を構築します。干渉計によって観測感度を3桁近く向上させ、これまで観測出来なかった放射は弱いけれど興味深い性質を持つブラックホールの発見を行うことができると考えています。また、この高感度観測を用いることで、理論的な予想と観測的な結果の比較が可能になります。そしてこの研究の延長線上には、超長基線電波干渉計VLBIによるブラックホール・シャドゥの直接撮像という究極の目標を設定しています。
東アジアVLBI観測網
この研究の特徴の一つは、国内・国外を含めた多くの研究者を巻き込んだ共同研究ということです。核となるのは山口大学理学部と時間学研究所であり、その周囲に、国内の他大学、研究機関、そして中国、韓国、台湾との東アジア連携があります。この東アジアの連携の核となることが、観測的研究グループの使命です。将来はさらにアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、南米などとの共同研究として、広がりを持つ予定です。この国際性は学生にとっても有意義です。